ミュージアムは2013年~2014年にかけて連載されていたホラー系の漫画です。

この作品は2016年に小栗旬主演で映画化もされています。

概要

  • 作者:巴 亮介(ともえ りょうすけ)
  • 掲載:週刊ヤングマガジン(講談社)
  • 期間:2013年~2014年にかけて連載
  • 巻数:全3巻(完結)
  • 備考:2016年に実写映画化

あらすじ

主人公の沢村は妻、息子がいる32歳の男性。警視庁捜査一課の巡査部長の刑事である。

沢村は仕事には熱心で、刑事としては優秀であったが、家庭のことはかえりみなかった。その結果、妻と息子は家から出て行ってしまう。

そんなある日、残虐な方法で殺害を犯す、カエルの面を被った連続殺人犯が現れる。

カエル面の殺人犯は被害者の欠点を探し、その欠点を償わせるような殺し方をするのだった→犬を捨てた人間は、犬に食い殺させるなど

沢村は部下の西野と捜査にあたることとなり、今回の一連の殺人が、過去に起きた「幼女殺人事件」の裁判に関連していることがわかる。

家を出て行った沢村の妻も過去の幼女殺人事件の裁判に関与しており、命を狙われるため、沢村は必死になり殺人犯を捜そうとするが、私情を挟むことを懸念され、捜査担当から外されてしまう。

そのなか、カエル面の殺人犯は大胆不敵にも自ら沢村の前に現れる。沢村は妻と息子を守るために必死に犯人を捕まえようとするのだったが..

登場人物紹介

沢村 久志(さわむら ひさし)
殺人犯を追う、警視庁捜査一課の巡査部長。優秀な刑事であるが、家庭のことはないがしろ。
自身の父も家庭をほったらかしにしており、父を嫌っていたが、刑事であった父が少女を守って死亡したことがきっかけで、同じ刑事の職を選ぶ。
家を出ていった妻子が殺人犯に狙われていることがわかり、捜査の担当が外された後も懸命に犯人を追う。

カエル面の男
雨ガッパにカエルの面を被った連続殺人犯。今までの殺人を自身の作品だと思っており、殺し方にも自分なりのこだわりを持っている。
今回の殺人の作品を仕上げるためには沢村の存在は不可欠であり、執拗に沢村を挑発する。

沢村 遥(さわむら はるか)
沢村の妻。家庭をかえりみない沢村に愛想を尽かし、息子とともに家を出る。
過去に起きた幼女殺人事件の裁判に関わっていたため、殺人犯に狙われることとなる。

西野 純一(にしの じゅんいち)
沢村の部下。殺人現場に慣れず、すぐに嘔吐してしまう青年。
沢村が捜査から外れた後も、影ながら沢村のサポートをする。

関端 浩三(せきはた こうぞう)
沢村の上司。冷静沈着な性格。連続殺人犯の捜査の指揮をとる。
捜査を外れた沢村の行動を調べ、殺人犯へたどり着く。

見どころ・おすすめポイント

スピーディで飽きない展開

ミュージアムは全3巻で完結と、比較的短期間で連載終了しています。

よって、展開に無駄がなく、テンポよく謎が次々と明かされるので、楽しく一気に最後まで読んでしまいました。

主人公の沢村は妻と息子が出て行ったことで、過去の自分のふるまいを後悔していて、妻に別れ際に父親としては最低と言われたことをずっと気にしています。

ですが、刑事の仕事を選んだ以上、家庭のことに時間がとれないのは仕方ないだろと思ってしまいました。

奥さんも理解してあげるべきだろと、勝手に私情を挟んでいました。

しかし、沢村の後悔の気持ちを繰り返し描くことが、後々の伏線となっていくのが面白いです。

人間味のあるタッチ

私はよく、絵をみて作品を読もうかどうかを決めるのですが、ミュージアムの絵は自分好みでした。

すごく人間の顔をリアルに書いていて、現実世界に近いようなタッチです。イケメン、美少女は出てきません(笑)
でもそこが人間味があって、漫画の世界に入っていきやすかったですね。

この作品では残虐な殺し方はありますが、グロい描写の激しい作品に比べると控えめだと個人的に思います。それよりもストーリー性重視の漫画です。

カエル男の猟奇性

そして何より、この作品はカエル男の猟奇性をうまく表現しています。

カエル男は殺人をアートだと考えている、そして、そのアートを完成させるために、徹底的に自分の美学にこだわった殺し方をする…ん…まるで、映画の「セブン」に近いものがありますね。

読んでいるときにも、何か頭のなかで引っかかっているものがあったのですが、書いていて気づきました。これは!と思い、ググッてみると、すでに多くの同意見がありました。「和製セブン」などとも呼ばれているようですね。

「ミュージアム」の感想まとめ

最初から最後まで不気味一色な漫画で、ハラハラしながら読みました!

ジワジワと追いつめてくるカエル男と沢村の攻防は読み応えがあり、全体的にまとまったストーリーだったと思います。

スリリングな漫画を読みたい方には是非おススメしたい作品です。

ラストの展開はなかなか難しく、読者に考えさせるものがありましたが…作者が思い描いていた、本当のラストは規制の関係でストップがかかってしまったと聞いたことがあります。

本当なら一体、どんなラストを考えていたのでしょうか?気になります。

余談ですが、ミュージアム2巻の最後のほうに、同作者の読みきり漫画が載っているのですが、主人公の男があまりにも沢村と似ていたので、あれ、何で急にこんな展開になったんだ…としばらく気づかず読んでいました(笑)

ちなみに、殺し屋の男と、奴隷商人に買われた女が偶然出会い、心を通わせる話なのですが、個人的にはこれも面白かったのでおススメです。