ギフト±は臓器売買やチャイニーズマフィアなどの裏社会のタブーな部分に切り込んだ作品です。
そして女子高生が解体屋という異質な設定。
『週刊漫画ゴラク』にて2022年8月まで連載されていました。

概要

  • 作者:ナガテユカ
  • 掲載:週刊漫画ゴラク(日本文芸社)
  • 期間:2015年3月~2022年8月にかけて連載
  • 巻数:全26巻(完結)
  • 備考:2018年にアニメ化(アニメBeansにて配信)

あらすじ

高校2年の鈴原 環(すずはら たまき)は、学校では他人と関わろうとせず、友人もいない。

だが、裏では、臓器売買グループの欠かせないメンバーであった。

グループのリーダーは秋光 崇(あきみつ たかし)。
新興財閥・極秋会の御曹司である。

グループでは、臓器売買のための獲物を「鯨(くじら)」と呼び、生きる価値のない、凶悪犯を標的にしていた。

「鯨(くじら)」を解体し、臓器を取り出すのは環の仕事であり、環は淡々と凶悪犯を解体していく。

環は、自分の行為を人助けと思っており、凶悪犯の臓器をより良い形で再分配することに誇りをもっている。

よって、「殺し」をしているとは考えておらず、あくまで解体作業と割り切っているのである。

環は過去に心臓移植を受けたことが原因してか、感情が欠落していた。

崇はそんな彼女に歪んだ愛情を抱いており、「人形のままの彼女」をいつまでも自分ものにしたいと考えている。

そんな折、環を探している人物が現れた。それは元医師の英 琢磨(はなぶさ たくま)であり、彼女の心臓移植に関わっていた人物であった。

英は環を救いたいと思っており、探偵で元刑事の阿藤に捜索を依頼することとなる。

調査を進める阿藤は、自身が刑事を辞めることになった「少女売春事件」がチャイニーズマフィア臓器売買と深く関係することを知り、その渦中に環の存在があることを確信する。

謎が謎を呼ぶ中、環には少しずつ感情が芽生え始めていき、物語は更に深みを増していく。

登場人物紹介

鈴原 環(すずはら たまき)
過去に心臓移植された経験を持つ女子高生。その影響からか感情が欠落しており、良心や怖れからストッパーがかかるということがない。臓器売買グループでは、人体を解体する役目を担っており、「命をありがとう」と声をかける。私生活では常にスタンガンを持ち歩いている。元医師の英の存在が忘れられず、徐々に感情が芽生え始めていく。

秋光 崇(あきみつ たかし)
普段は大学に通う学生。臓器売買グループのリーダーとして、福数人の部下を束ねる。環に歪んだ愛情を抱いており、彼女に感情が戻ることを阻止するため、医師の英と接触させないようにしている。

英 琢磨(はなぶさ たくま)
環の心臓移植に関わった元医師。「英医院放火殺人」の犯人として指名手配されているため、現在は「林」という偽名で闇医者をしている。主に正規では行えない臓器移植の手術で生計を立てており、崇から臓器提供を受けることも多い。環を探している。

阿藤 圭介(あとう けいすけ)
元刑事で現在は探偵をしている。幼少時、父の暴力から母、妹を守るために正義のヒーローになりたいと思っていたことから刑事になった。しかし、過去に起こった「少女売春事件」がきっかけで刑事をやめることになる。環の捜索を行う中で、タブーとされた事件に次々と関与していく。

加藤 善人(かとう よしと)
崇の部下で右腕的な存在。同時に現役の刑事でもあり、阿藤とは元同期になる。闇の世界でのパイプも広く、謎に包まれた男。冷徹な行動も迷わず行う。

桜田 瑞希(さくらだ みずき)
現役の女性刑事。阿藤の恋人。普段はメガネをかけており、気が強い性格。仕事も優秀である。警察で知りえた情報を阿藤に流している。

リュウ
チャイニーズマフィア。野望を叶えるために邪魔なものは暴力で排除する。加藤とも繋がっている。

見どころ・おすすめポイント

アングラな世界観

ギフト±の最大の特徴としては、アングラ要素がこれでもかと言うほど盛り込まれているところだと思います。

人身売買売春チャイニーズマフィア臓器売買など、不気味でタブー的な内容を題材にしているので、読んでいてワクワクしてきます。

ゾクゾクする描写も最高レベルなんじゃないかと思います。

生きたまま体をメスで切り裂いて臓器をバンバン取り出すシーンや、目玉突き刺したりその目玉を口に入れさせたり…見ていてブルっと寒気がしてきますね。

それがクセになっちゃうんですが。

見てはいけない世界をついつい覗いてしまう感覚です。

女子高生「環」の魅力

本作の登場人物の中で一番魅力的なのは、断トツで主人公の環だと思います。

感情が欠落してしまっている環。その描き方がすごく巧みでした。

環のセリフや行動や描写から、本当に感情がないことが伝わってきます。

それが伝わるのは画力の高さがあっての話なのですが、人体を切り裂くとき、レイプされそうになったとき、感情の起伏がない表情を描くのが上手すぎます!

個人的に印象に残ったのは4巻で、崇の叔父さんが院長を勤める病院内で、叔父さんと環の主治医である女医さんが院長室でセックスしているところを目撃するところです。

普通の人なら気付かれる前にその場を立ち去るか、変態なら隠れてこっそり見るかだと思うのですが、環は普通に部屋に入ってきちゃいます(笑)
叔父さんマジ切れでした..

「ギフト±」の感想まとめ

ギフト±は一言でいうと、闇が深すぎる漫画で、非常にワクワクゾクゾクしながら読めました。

始めはなんとなく読んでみた漫画だったのですが、私の中では大ヒットでした。

人体を解体するなど、グロい描写も多いのですが、それだけではなくストーリーも奥深いです。

謎がいくつもはりめぐらされていて、読み進めていくうちに、絶妙に伏線が回収されていくサスペンス的な楽しさがあります。

どのような展開を迎えて、環の感情はどうなっていくのか、そしてどう終結を迎えるのか、続きがとても気になってしまい一気に読みたくなる作品です。

そして、正義とは何かを考えさせられる作品でもありました。

本当は裁かれるべき凶悪犯を解体し、臓器を必要としている人に使うことは正義なのか?

なんとなく日常を過ごしていると考えることがない脳を使った気がします。

画力も高く、裏社会の人間模様は読み応えがあるので、アングラ要素が強い漫画が好きな人には是非オススメしたいと思いました。